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あの日の海から続く、私の旅路。7-Eleven International LLC 重信さんの働き方

どんな仕事にも必ず「原点」があります。学生時代に友人と過ごした時間や、アルバイト、あるいは、誰かからもらった一言が「原点」かもしれません。

「働き方は、なないろに」では、従業員一人ひとりの原点から今にいたるまで、それぞれの七色の働き方を紐解いていきます。

今回登場するのは、7-Eleven International LLCでMerchandising Managerを務める重信さん。海外ライセンシーの商品関連サポートを担当し、ベトナムやフィリピンなど、アジア各国のセブン‐イレブンを支えています。

その始まりは、小学校3年生で経験したグアムへの船旅でした。

新しい世界を知った、グアムの海

重信さんにとって、子どもの頃から旅は特別なものではありませんでした。旅行好きの祖父母に連れられて、幼い頃から国内を巡るうちに、“季節ごとの楽しみ”のようになっていったそうです。ただ、そんな旅慣れた重信さんにとっても、初めての海外は特別な経験になりました。

「小学校3年生で、子どもだけのグアム・サイパンツアーに参加したんですね。しかも船旅で、グアムまでは5日間かかる、なかなかハードな旅でした。祖父から『小さなうちに海外を見ておいた方がいい』と言われて参加したんですけど、グアムに到着するまでの5日間は、ホームシックと船酔いにずっと悩まされていました(笑)」

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子どもたちを楽しませるために用意されたアクティビティに目を向けることもなく、早く時間が過ぎ去ることを祈りながら、重信さんはひたすら眠っていたそうです。

そして、日本を出港して5日目。ようやくたどり着いたグアムで重信さんが目にしたのは、エメラルドのように輝く美しい海でした。

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出典: 画像素材:PIXTA

「その瞬間、気持ちがぱっと明るくなったんです。ホームシックも船酔いも吹き飛んで、目の前に広がる景色を思いっきり楽しみました。新しい世界に触れて気持ちが動けば、自分自身にも変化が起きるんですよね。大人になった今だからこそ、そう感じます」

帰りは不思議なことに船酔いもなく、笑顔で日本に帰ったという重信さん。そこから、重信さんにとって海外は身近なものへと変わっていきます。

小学校6年生で家族と訪れたオーストラリアでは、たった一つだけ覚えていった"What's this?"という言葉で買い物を楽しみ、英語が通じる楽しさを実感しました。

英語を勉強して、海外を旅してみたい。

そんな気持ちが膨らんでいった重信さんに転機が訪れたのは、中学1年生の夏休みでした。

異文化に憧れて

1学期の終わりが近づき、同級生たちが夏休みの予定を埋め始めた頃。重信さんは、学校で配られたオーストラリア(メルボルン)へのホームステイプログラムの案内に夢中になっていました。

「すぐに両親に『行かせてほしい!』と頼み込みました。私は自分から何かをお願いするタイプではなかったので、二人ともビックリしていました」

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熱意が伝わり、オーストラリアにホームステイさせてもらえた重信さん。

「異なる文化に触れるのが、とても楽しくて。違う言葉、違う食文化、違う土地。そういうものすべてが、私にとって大切なものになっていった時期だと思います」

さらにご両親を驚かせたのは、ホームステイでの経験が、高校や大学の進学先に大きく影響したこと。それまであまり勉強が得意ではなかったという重信さんですが、積極的に机に向かい始めました。

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15年ぶりに再会した、オーストラリアのホストファミリーと。

海外旅行の楽しみと勉強を両立させながら、重信さんは外国語大学へと進学します。いずれは海外に関わる仕事に就こうと思ってのことでしたが、当時は世界的に経済が冷え込んでいた時期でもありました。

「ハワイで働きたい」から始まった道

そんな状況もあって、特定の業界を目指すのではなく、知っている会社に次々とエントリーしていったという重信さん。就職活動に追われる中でヒントになったのは、友人からの「素の自分を出せる会社を、選ぶことになるよ」という言葉でした。

「何社か面接を受けたんですけど、一番自然に話せたのがセブン‐イレブン・ジャパンの面接でした。それで、もしかしたら自分に合っているのかもと感じたのが一つ。それから、海外展開を行っているのもいいなと思ったんですよね。ゆくゆくはセブン‐イレブン・ハワイで働けるかもって(笑)」

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ちょっとした遊び心も秘めつつ、重信さんはセブン‐イレブン・ジャパンに入社。名古屋での店舗業務を経て、2013年からは加盟店オーナー様に向けた経営カウンセリングを行うOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)として同地区に配属されます。

「名古屋は今でも大好きです。住み心地もいいですし、名古屋ならではの食文化も私に合っていました。ただ、仕事ではプレッシャーを感じることも多かったですね。店長からOFCになる時は、自分に自信が持てなくて、不安になることもありました」

それでも、重信さんは思い切って飛び込むことで自分を少しずつ変えていきました。

そうして6年間、担当する店舗のオーナー様との関係を育んだのち、今度は東海地区のMD(マーチャンダイザー;セブン‐イレブンの商品開発担当)へ。1年半後には、全国の商品を管轄するセブン‐イレブン・ジャパン本部のベーカリースイーツのMDへと、商品開発の道を歩んでいきます。

まるで会社の中を旅するようにキャリアを築く重信さんでしたが、「海外で働きたい」という想いはずっと胸の奥に残っていました。

新天地への道を開いた、濃密な15分

「7-Eleven Internationalへの出向は、社内の立候補制度で、希望者が応募できる仕組みがあるから叶ったんです。時期になると、私のことをよく知る名古屋時代の同僚からは『もうすぐ締め切りだよ』って、いつも連絡が来ていました」

その度に重信さんは海外での仕事を意識していましたが、日々の業務に追われて応募に踏み切れない日々が続いていたそうです。
2023年の時期にも、重信さんはいつものように「締め切りだよ」というメッセージを受け取ります。ちょうど、セブン‐イレブン・ジャパンが社内で実施している英語のトレーニング(Seven-Eleven English Training)に申し込んだばかりのタイミングでもありました。

「その日はたまたま振替休日で、少し考える時間があったんですよね。外出先で同僚からのメッセージを見ながら、『なぜ今、英語を勉強しようとしているんだろう?』と振り返ってみたんです。深く考えるまでもなく、“海外で働くため”だよねって。
じゃあ、もう今やればいいんだ!って。急いで家に帰って、一心不乱に15分くらいでエントリーシートを書き上げました」

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熱い想いを込めた15分から始まり、その後は面接を重ねていった重信さん。“いつか海外に関わる仕事をする”という、学生時代からの夢を実現しました。しかし、7-Eleven Internationalに出向した当初は、文化の違いに戸惑うことも少なくなかったそうです。

「セブン‐イレブン・ジャパンではプレゼン形式の会議が多く、情報共有や報告が中心なんです。7-Eleven Internationalの会議では常に発言が求められるので、慣れるまでは本当に大変でした。それから大きく違うのは、仕事を自分でつくっていかなければならないということ。ルーチンワークが一切ないんですよ」

自分が何をすべきかを考えて、スケジュールを埋めていく。そんな働き方は、重信さんがセブン‐イレブン・ジャパンで経験したスタイルとは大きく違っていました。

「今までとは違う頭の使い方で、脳がフル回転するような毎日で、とにかく糖分が欲しくなって…。ひたすらチョコレートを食べる毎日でした(笑)」

手探りながらも、諦めることなく、一歩ずつ歩みを進めていく。重信さんのそんな前向きな姿勢は、周りの人たちにもしっかりと届いていくことになります。

新しい土地で出会った言葉

重信さんは現在、ベトナムとフィリピンでの商品開発や販売促進のサポートを担当しています。日本と現地を行き来しながら、それぞれの国のライセンシー※と密にコミュニケーションを取る中で、重信さんが大切にしているのは“とにかく質問すること”。
※セブン‐イレブンのライセンス契約をしている企業のこと。

「環境も文化も違うので、日本と同じやり方がそのまま通用するとは限りません。とにかく質問して、『なぜ、こういうやり方になっているのか』『どんなものが現地のお客様に受け入れられるのか』を、聞くように心がけています」

現地の様子を把握できるようになってきた最近では、提案を交えたコミュニケーションも増えてきているそうです。一方で、「日本での仕事のような手応えがなかった」と重信さんは続けます。

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「まだ日が浅いからというのもあると思うのですが、本当にサポートできているのか、今のやり方は正しいのかと、考えてしまうんです」

悶々とした日々が続く中、重信さんは上司から思いがけない言葉をかけられます。担当国のCEOから、重信さんの仕事ぶりを評価する声が届いていたのです。

“商品部のメンバーとうまくやっている。みんな、重信さんのことが好きなんだ”

「そこまで評価していただける仕事はまだできていないと思っているのですが…。涙が出そうなほど、うれしかったです」

新しい世界に飛び込んで出会った、心を動かされる言葉。それは、幼い頃にグアムで見た海のように、重信さんの心に静かに広がっていきました。

最後に、重信さんの働き方を色で表現していただきました。

働き方は、赤色

「その場その場を“楽しい!”と思えるようにする。それは常に思っていたなって。自分が楽しいと思える仕事を、その場その場でつくっていくのが、たぶん得意なんだと思います」

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「商品部にいた時、“自分の体温が2度上がる”くらいテンションが上がるものを目指していたんです。それは今も同じで、どんな場所でも自分の仕事を楽しいものにしたい。時には落ち込んだりもしますけど、“やるぞ”ってなったら一気に燃え上がる。だから、赤色ですね」

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海から始まった重信さんの“赤色”の旅は、これからも続いていきます。

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