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押し心地こそがテンキーの命。こだわりぬいた開発者たちの軌跡

セブン銀行のATMは「24時間365日、いつでも誰でも安心して使える銀行サービス」という革新的なコンセプトで誕生しました。日々さまざまなお客様が訪れるコンビニエンスストアのATMで最も重要なのは、“心地よさを積み重ねる”こと。

NEC様・東プレ様と共同開発したテンキー(数値を入力するためのキーパッド)もその一つです。

指先という小さな“接客”に注がれた情熱、その試行錯誤。

一社だけではたどり着けない場所を目指して、ともに歩んだ人々のストーリーを紹介する“あすを紡ぐたび”。第2回は、テンキーに込められた開発者たちの想いを辿ります。

安全性と心地よさを目指して

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「お客様が安心して操作できること、指先で感じる心地よさ。ATMのテンキー開発には、快適な操作性と高度なセキュリティの両立が求められているんです」

そう語るのは、セブン銀行 執行役員の水村さんです。

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セブン銀行 執行役員 水村さん

水村さん

水村さん

ATMの操作は画面やテンキーを触って行いますよね。ATMにとっては接客と同じ。ですから、この時の感覚をとにかく大事にしたかったんです。もう一つ大事にしているのがセキュリティ。どの角度からものぞき見ができない形にするなど、お客様が安心して使えることも同時に考えています。

そんなテンキー開発を支える会社の一つが、あすを紡ぐたび第1回でもご紹介したNEC様です。今回お話しいただいたのは、NEC インダストリインフラ統括部の坂下さん。

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NEC インダストリインフラ統括部 坂下さん

坂下さん

坂下さん

テンキーが操作しやすい配置はどこなのか、本体のデザインにどうなじませるのか。そこは丁寧に検討しながら設計しました。

水村さん

水村さん

2010年に導入を開始した第3世代のATM以降は、音声ガイダンス機能を搭載したりUDフォント※を採用したりと、お客様の色覚の多様性にも配慮したデザインになりましたよね。

2019年に導入を開始した第4世代のATMでは、本体がほのかに光る時、テンキーも同じように発光するように調整していただいて。あれは、ものすごいこだわりだと思います(笑)

※認識しやすく、読みやすく、誤読しにくいように工夫されたフォント

坂下さん

坂下さん

光り方一つにも、使いやすさへのこだわりが詰まっています。単に透明にして光らせるだけでは、LEDの光が直接目に入って疲れてしまうんです。いかに「ぼやっと」優しく光らせるか、ATM本体との統一感をどう出すか。東プレさんと会議室で何度も議論を重ねました。

初代ATMから続く、テンキーのパートナー

初代ATMからテンキーの設計・製造を支えているのが、東プレ様です。キーボード事業は金融関係から始まり、今では一般向けキーボード(REALFORCE)まで手掛けています。今回は、初代テンキーから開発に携わる榎本(和)さん、セキュリティ担当の榎本(賢)さん、営業の斎藤さんにお話をうかがいました。

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左から東プレ株式会社 榎本(和)さん・榎本(賢)さん・斎藤さん

榎本(和)さん

榎本(和)さん

テンキーは押し心地がすべてだと思っています。キーを押した時の重さ、押したらどんな深さで沈むか。細かなフィーリングを何度もチェックしました。

水村さん

水村さん

NECさんと一緒に、たくさんのサンプルを叩かせてもらいましたよね。

斎藤さん

斎藤さん

押しやすさはもちろん、温かみのある質感になっています。海外のATMでよく見かける金属製のテンキーは冷たく、押し心地がかたい印象がありますが、セブン銀行さんのテンキーは、触れた時や押し心地が柔らかい感触になるように意識しています。

一般的なパソコンの安価なキーボードとも全く違う、セブン銀行さん用につくられた、特別なテンキーになりました。ここまでこだわる会社さんは、なかなかないと思います。

坂下さん

坂下さん

東プレさんがすごいのは、押し心地とセキュリティを両立させたところだと思います。どちらか一方を優先することは簡単ですが、そのバランスを取るのがとても難しいんです。

榎本(賢)さん

榎本(賢)さん

テンキーのセキュリティ性を高める際は、いわゆる盗聴器や盗撮器の類を仕掛けられないように、物理的に薄くすることが多いんです。

ただ、それだと押し心地があまりよくない。セブン銀行さんのご要望で深いストロークを維持しながら、同時に厳しい金融業界のセキュリティ基準もクリアしなければなりません。

こうした安全性を保ちながら良い押し心地も実現するために、かなり試行錯誤して設計しました。

細部のこだわりを積み重ねて生まれる「心地よさ」

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使い心地と安全性、二つの要素をクリアした上でさらに使いやすいテンキーを目指す各社。さまざまなユーザーに配慮したデザインや機能を細かくアップデートしながら、その歩みを続けています。

水村さん

水村さん

ATMの使いやすさって小さなことの積み重ねなんです。海外からのお客様のために12言語に対応していますし、操作音には琴を思わせるメロディーを採用し、日本らしさも大切にしています。テンキーも、言われないと気づかないような、いくつもの工夫があるんですよ。

坂下さん

坂下さん

お客様の使い心地を担保するという視点で言うと、印字でしょうか。ご家庭で使われるキーボードは機種によっては、「よく打つ文字が消えてしまう」ことがあると思います。 ATMのテンキーの場合、特定の数字がかすれると暗証番号のヒントになってしまいますから、消えないことも意識しましたね。

榎本(和)さん

榎本(和)さん

セブン銀行さんのテンキーの文字は、どれだけお使いいただいても消えることはありません。また、東プレはキーボードにこだわるお客様に向けて『REALFORCE』という製品を発売しています。そこで得られたお客様からの声もテンキーに反映されています。

斎藤さん

斎藤さん

キーボードを叩く時の音をもう少し小さくできないか? というお声をいただいたことがあったんです。そこからは静音性にもこだわるようになりました。

榎本(賢)さん

榎本(賢)さん

ちなみにキーボードを叩く時に、プッシュホンの「ピッポッパ」のように数字が特定できてしまう音は、セキュリティ的にNGなんです。さらに物理的な音の違いも極力抑えるために、静音化構造を採用しています。

水村さん

水村さん

小さなことを積み重ねる精神を東プレさんもお持ちなので、うれしくなりますね!

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水村さん

水村さん

東プレさんのテンキーはとにかく頑丈なんですよね。寿命でテンキーだけ交換したケースは一度もありません。

坂下さん

坂下さん

デジタルのキーボードも増えていますけど、実際に手で操作する安心感って、やっぱり大きいんですよね。これからも、お客様がもっと使いやすいと感じてもらえるように、皆さんと一緒にいいものをつくっていきたいです。

水村さん

水村さん

皆さんのおかげで、テンキーの細部にまでこだわることができている。これがセブン銀行の強みです。オリジナルキャラクターのように、テンキーに愛着をもってもらえたら最高ですね(笑)!

同じこだわりを胸に、あすを紡ぐ

ATMにおいて、テンキーは主役ではないのかもしれません。それでも、そこには心地よさを追い求めるさまざまなこだわりが込められていました。
最後に、この旅をともに歩む皆さんの想いをお話しいただきました。

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榎本(和)さん

榎本(和)さん

セブン銀行さんのATMは音や画面の切り替えスピード、どれをとっても本当に使いやすいんです。画面の見やすさや操作のしやすさを、しっかりと熟考されているのがよくわかります。私も、ユーザー視点でテンキーをつくらなければと改めて思わされましたね。

榎本(賢)さん

榎本(賢)さん

テンキー以外にも「なんかいいよね」となるポイントがぎゅっと詰まったATMなんですよね。このマインドこそが、ものづくりだと思います。とても参考になりますし、同じ方向を見て歩いていけるのは本当にありがたいですね。

坂下さん

坂下さん

いいものをつくろうとすると、どうしても壁にぶつかってしまいます。でも、セブン銀行さんは「お客様のためになることならば」と前向きに検討してくださいますし、もっと上を目指そうとしてくださる。おかげでこのテンキーが生まれました。これからも3社で挑戦をしていきたいですね。

水村さん

水村さん

テンキーは少し前にSNSで話題になり、たくさんのお褒めの言葉をいただけました。それまでは、「我々がやっていることは正しいはずだ!」という想いだけで走ってきたんです。それが間違いではなかったとわかって、本当にうれしかったですね。

NECさんとは定期的にATMの機能開発のディスカッションをしているので、そこに東プレさんに加わっていただくのも面白いかなって思いました!

斎藤さん

斎藤さん

ぜひ、参加させてください! これからも一緒に良いものをつくっていきたいですね。

もっと使いやすく、もっといいものに。ものづくりのたびは、これからもあすへと続いていきます。

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