
1台のATMに込められた想い。セブン銀行ATM開発者たちの旅路
生活者の日常を支えるセブン&アイグループの商品とサービス。ですが、私たちの手元に届けるために様々なパートナー企業の力を借りています。「あすを紡ぐたび」では、一社だけではたどり着けない場所を目指して、ともに歩んだ人々のストーリーを紹介します。
今回は、セブン銀行とNEC(日本電気株式会社)様がともに築いてきた “コンビニにATMがある風景”への道のりを辿ります。
第1世代ATM。そのはじまりは、お客様のニーズから

セブン銀行 ATMソリューション部長 水村さん
1990年代後半、セブン-イレブン・ジャパンのお客様アンケートで最も要望が高かったのがATMの設置でした。お客様のニーズに応えよう―そんな想いからセブン銀行は誕生しました。
「コンビニにATMを置いてもビジネスにはならないと言われることもあったそうですが、私たちが何よりも大事にしたのは、お客様のニーズに応えることでした」
と話すのは、セブン銀行 ATMソリューション部長 水村さん。
新しいインフラを築くことを目的としてセブン銀行は立ち上がりました。

「銀行のATMと同様なものを、そのままつくるわけにはいかなかった」
と振り返るのは、NEC 金融システム統括部 ディレクター 小佐田さん。

小佐田さん
「ATMも商品だから、ATMが止まってしまうということは欠品と一緒。だから絶対に故障してはいけないんだ」
とおっしゃったのが、セブン銀行初代会長の安斎様でした。
メンテナンスや保守障害対応も含めて24時間フルで対応するということは、難易度の高い挑戦ではありましたが、私たちNECも“商品をつくっているんだ”という気持ちを胸に、開発に取り組みました。

水村さん
銀行の支店にあるATMは、3台から5台、多いと10台ぐらいありますよね。だから仮に1台が故障しても、他のATMでカバーができます。でもコンビニの限られたスペースでは、どうしても1台しか置けない。故障が許されないわけですね。
そのリスクを抑えるために、通帳や硬貨などの機能を大胆に削りました。デザインもコンパクトで、同じATMという括りではありますが、従来のものとはまったく異なる考え方でつくられているんです。

小佐田さん
金庫の開け方にしてもまったく違いますよね。一般的なATMは後ろ側から開けますが、この子(セブン銀行のATM)は前から開くようにつくっているんです。

水村さん
ATMをついつい「この子」と言ってしまう気持ち、わかります! 我々にとっては子どもと同じですよね(笑)。
“もっと使いやすく”を追い求めた、第2世代ATM

故障しにくいATMを追求した第1世代でしたが、当時の紙幣の読み取り速度は1秒間に1枚のみ。故障しにくいとはいえ、コンビニATMを利用するお客様からすると、物足りなさを感じさせるものでした。

水村さん
お客様にご不便をかけるわけにはいきませんよね。ですから第2世代の開発は、第1世代ATMの投資回収が終わっていない中すぐにスタートしました。第1世代への投資額を考えると、会社としてはとても大きな決断だったと思います。
2005年にリリースした第2世代は、紙幣の読み取り速度を大幅に改善しました。もう一つの大きな変化は、2007年に音声ガイダンスによるATM取引を実現したこと。これも、NECさんあってこそだと思っています。

ATM備え付けのインターホン(電話)。音声ガイダンス取引などに使用されます。

小佐田さん
音声ガイダンスのサービスは、視覚障がいのある弊社社員にも協力してもらいながら、何度もディスカッションを重ねてつくっていきました。すごいなと思ったのは、“みんなが使いやすいもの”をどこまでも追いかけるセブン銀行さんの姿勢です。

水村さん
きっかけは、「ぜひ対応して欲しい」という視覚障がい者のお客様からのお手紙だったんですよ。“社会インフラを創る”という志があるから、私たちセブン銀行にとっては特別なことではないんです。
使いやすさのその先へ
24時間365日の安定性を維持しながらも、多くの人に向けた使いやすさも実現した第2世代。セブン銀行ATMの進化はまだまだ続きます。第3世代では、消費電力を40%削減するなど、地球環境への負荷を軽減。さらに、ユーザー体験の向上に取り組みました。

水村さん
第3世代では、“使えればいいATM”ではなく、“使って気持ちのいいATM”を目指しました。画面は見やすく、操作はより簡単に。そして何より、ATMを触った時の心地よさ。そこにとにかくこだわるべきだと決めて、デザインを全部リニューアルしたんです。

小佐田さん
ATMは機械に慣れていない方も使うことが多いですが、銀行と違ってコンビニには係員の方はいないので、すぐに聞ける環境ではありません。ですから、第2世代よりももっと直感的に使えるように、色々な工夫をしています。


水村さん
わかりやすいところでいうと、文字の大きさですね。誰でも見やすい、理解しやすい画面を目指しました。テンキーにも、ものすごくこだわっています。
テンキーの押し心地は、長さ・大きさ・重さの掛け算で変わるんですよ。サンプルをつくって、叩いてみて、ソムリエみたいなことを何度も何度もやって、選び抜かれたものになっています。
世界中の銀行を探してもここまでやっている人たちはいないだろう! と思っています(笑)。
これからも、ともに歩む明日へ
お客様のニーズから生まれ、進化してきたセブン銀行のATM。第4世代は、ATMのその先を目指すATMとして2019年にリニューアルしました。この先、セブン銀行のATMはどんな道を紡ごうとしているのでしょうか。

水村さん
第4世代のATMには、マイナンバーカードや免許証の読み込み機能が追加されました。顔認証のカメラと組み合わせると、本人確認もできるので、ATMだけで口座開設や住所変更ができるんです。
とはいえ、機械的に窓口業務をこなすだけでは味気がないですよね。有人窓口とスマホの間ぐらいの、限りなく人が対応するのと近いような感覚を追求しているところです。

小佐田さん
将来的にはAIを活用して、お客様一人ひとりに合わせた“パーソナライズ”な画面やサービスの提供をやってみたいです。
例えば、高齢者の方には見やすいシンプルな画面をご提供する。もしくは、本当にわからない時にはコールセンターに直接繋いであげる。そんな配慮のできるATMにしていきたいですね。


小佐田さん
私はこの子(セブン銀行ATM)の開発者であり、いちユーザーでもあるので、日々の生活の中で「こんなことをセブン-イレブンでできたらいいな」とか「近くのセブン銀行ATMでできたらいいな」とか、誰かのちょっとした幸せに繋がるいいサービスをつくりたいと思っています。

水村さん
小佐田さんはとにかく、びっくりするぐらい一緒に考えてくれるんです。20年近く一緒に開発していますが、ずっと変わりません。うかうかしていると提案されるばかりになるから、身が引き締まります。
小佐田さんだけではなく、NECの皆さんはみんな、銀行員のような気持ちで提案してくれているんじゃないかな。
強力なパートナーに支えられていることが、セブン銀行の強みだと思っています。本当にありがとうございます!

小佐田さん
自分が携わったものが、世の中に受け入れられるのはとってもうれしいことなんです。私たちこそ、一緒に取り組んでいただき本当に感謝しています。これからも、セブン銀行の皆さんの要求を超えた提案をお返ししていきたいですね!
セブン銀行とNEC。変わらぬ信頼関係で結ばれた二社とATMは、これからもより良い明日を目指してたびを続けます。
