
専門店の味を“日常のごほうび”に! セブンプレミアム ゴールド『金のハンバーグ』の挑戦
ハンバーグ。それは、子どもも大人も笑顔になれるごちそう。
家庭ごとの味も、専門店の味も、それぞれに特別なおいしさがあります。
でも、もし“お店の味”が、いつでも家で楽しめたら?
セブンプレミアム ゴールド『金のハンバーグ』は、そんな願いを形にした一品です。
ふっくらとした肉厚のハンバーグに、たっぷりつまった肉汁。ハンバーグの味を引き立たせるソース。頬張るたびに、お店で食べているような満足感が広がります。
そんな『金のハンバーグ』が登場したのは、今から15年前。プライベートブランド(以下、PB)のチルド食品で「専門店の味わい」を追求しようとは、本気で考える人がほとんどいなかった時代でした。
今回は、PBの当たり前を変えてきたセブンプレミアムの、さらに「ワンランク上の味」を目指した開発者たちのアメノチハレをお届けします。
“さらに上質”のヒントは、食卓に
「セブンプレミアムを超える、さらに上質なPBをつくるように、と言われた時は、正直戸惑いました。すでに自分たちはおいしさと品質にこだわった商品をつくっているのに…これ以上、どうすればいいんだろうって」
そう振り返るのは、セブンプレミアム ゴールドシリーズを生み出した初代マーチャンダイザー(※以下MD)で、現在セブン‐イレブン・ジャパン マーケティング戦略部 商品ブランド戦略 マネジャーの鈴木さん。

まだ世の中に存在しない商品をどうやってつくっていけばいいのか。価格は? 品質は? 思い悩む中で、セブンプレミアムの“さらに先”を目指すために最初にヒントにしたのは、日々の暮らしの中で見えてきた食事の課題でした。

鈴木さん
共働き世帯が増加している中、家事負担を少しでも軽減したいとセブンプレミアムの惣菜メニューの開発にあたっていました。私自身も家庭があり、毎日の食事の支度が悩みの種で、『ポテトサラダ』などセブンプレミアムの副菜は重宝していました。
一方で、メインになる主菜ももっとあったらいいなと感じていたんです。1週間がんばったごほうびとして、金曜の夜やお休みの日の昼に、ちょっといいものを家で楽しめたらどうだろうと思いました。
中でも鈴木さんが着目したのは、年に数回食べるような特別な料理ではなく、“家庭でもお店でも食べられるメニュー”でした。

鈴木さん
外で食べたらおいしいものってたくさんあります。でも、あまり家庭で食べないものだと、お客様がセブン‐イレブンの店頭で買おうとは思ってくださらないかもしれない。そこで、食卓によく出てくるメニューを調べてみたんです。
上位に出てきたのが、後に初代セブンプレミアム ゴールドとして発売されることになる、ハンバーグとカレーとビーフシチューでした。

鈴木さん
たとえば、外で食べるハンバーグはソースもおいしいですよね。でも、家庭では手間暇かけてソースまでつくる時間は、なかなか取れません。おいしいハンバーグとおいしいソースをセットにしてお届けすることができたら…? こうして、『金のハンバーグ』の開発がスタートしたんです。
目指すのは、「とっておきの味」。PBの枠を大きく超えたハンバーグをセブン‐イレブンで販売するために、幾度もの試作が重ねられていくことになるのでした。
おいしいだけでは届けられない。価格との戦い。


鈴木さん
『金のハンバーグ』の開発を一緒に行った日本ハム様とまず決めたのが、お肉の比率でした。日本人の口に合うように、牛肉の旨味と豚肉の甘味を活かした理想のハンバーグを目指したんです。それから、ソースとの相性。商品の基礎となる部分は、開発初期で固まっていたんですよね。
そんな中、最初に立ちはだかったのが味の評価でした。

鈴木さん
ハンバーグのおいしさって、お肉の比率はもちろん、ひき肉の粒の大きさや練り加減、焼き方で大きく変わってくるんです。社内の試食会でOKが出るまで、その細かい調整の繰り返しでしたね。
数カ月に渡る試作を経て、試食会で「OK」が出た時、ほっと胸を撫でおろしたという鈴木さん。しかし、すぐに二つ目の壁に突き当たります。
満足のいく味にたどり着けたと思ったら、今度は「価格が妥当か」という指摘が入ったのです。


鈴木さん
極端に言えば、価格を気にしなければおいしさを追求することはできます。でも、それをいくらで売るのかは、とても難しい話。2010年当時、セブンプレミアムのチルド商品は100円台前半の商品も多く、一部の商品で198円という価格に挑戦していたところでした。そのような中で『金のハンバーグ』の値付けはなおさら悩みました。
鈴木さんは、開発メニューを決めた時と同じように、生活の中に目を向けました。

鈴木さん
家庭でつくったら、いくらになるんだろうって考えたんです。いろいろなスーパーのチラシを見比べながら、自分でつくるものよりおいしいのに、自分でつくる材料費と同じくらいで買える。そんな価格を会社に提示しました。それでもまだ「見直しをするように」と言われて、さすがに少し落ち込みましたね。
そこからはまた、細かい調整の繰り返しです。価格を少しでも下げるために、原材料や資材のコスト表を一つひとつ見ながら、改善点を洗い出していく…。その調整は、ほんのわずかなことでも削減するというレベルにまで及びました。

鈴木さん
本当に大変だったんですが、発売前に商品展示会で試食を提供した際の加盟店オーナー様の言葉に救われました。一緒に来ていた従業員の方たちと「これはおいしいから、絶対に売っていこう!」とおっしゃっていて。あの時の感動を、今でも覚えています。
商品を売る立場として厳しい目を持つオーナー様からの、太鼓判。
ここから、『金のハンバーグ』の15年に渡る歩みが始まっていったのでした。

初代のセブンプレミアム ゴールド。ハンバーグステーキ、ビーフカレー等、合計 4 アイテムを発売した。
進化する『金のハンバーグ』と、変わらぬまなざし
『金のハンバーグ』は発売以来、肉やソースの調整から原材料の見直しに至るまで、調整と改良を重ねながら、その品質を磨きこんでいきました。
そんなバトンを受け継いだ一人が、当時FFデイリー部 デイリー冷食MDだった平田さんです。


平田さん
実は鈴木さんとは同期入社で、初めて『金のハンバーグ』を食べた時は、シンプルにすごいなと感心しました。おいしさはもちろん、価格とのバランスも良かった。ですが、担当を引き継いだ時には難しさも感じていました。いくらおいしいものでも、人はいつしか満足しなくなるものなんです。
ある意味で、お客様のニーズとの競争という感覚でリニューアルを重ねてきたという平田さん。中でも印象的だったのが、2016年の包材の変更です。

平田さん
2015年までの『金のハンバーグ』は湯せん調理しかできなかった包材でしたが、お客様へのインタビューを実施したところ、半数近くの方がお皿に移してラップをかけてレンジで温めていることが分かったんです。ちなみにうちの妻もそうやって温めていましてね(笑)。
しかし、レンジ加熱ではせっかくのソースがお皿で焦げることがあり、味が損なわれてしまうと、平田さんは解決策を求めて市場調査を開始します。

平田さん
立ち寄ったスーパーで、レンジ対応の包材を使った商品を偶然見かけ、これならご要望に応えられるかもしれない、とひらめきました。ただ、そこからは一筋縄ではいきませんでした。

というのも、『金のハンバーグ』は“ハンバーグ”と“たっぷり入ったソース”の両方をムラなく温める必要があるからです。レンジ対応の包材はあっても、そこまで考えられているものはありませんでした。
お湯を沸かしたり、お皿に移しラップをして電子レンジで温めたりするのではなく、お客様の手間をなくして、おいしく召し上がっていただくために――。品質と利便性を両立するべく、参考にするべきサンプルもないまま、平田さんは包材の試作を続けました。

平田さん
試作段階では、蒸気口に手が当たってしまい、やけどの危険があるものもありました。包材メーカー様も前例がないので、手探りだったんですよ。どなたでも安心して便利に使えるようにと、今の形になるまでは多くの方の力をお借りしました。

2016年5月 レンジ対応の包材に変更
完成した包材は、湯せん調理も電子レンジも可能というもの。電子レンジに特化しなかったのは、「ご家族で一緒に食べる際、複数個を一つひとつ電子レンジで温めていると、時間がかかってしまうんです。先に温めたものが冷めてしまうので、一度に複数個温められる湯煎調理の対応も必要でした」と平田さんは話します。
『金のハンバーグ』開発当初から大切にされてきた、生活に根差した視線。それは、世代を重ねても受け継がれていました。
とっておきのハンバーグを、これからも

『金のハンバーグ』は2025年7月に、15代目へと切り替わりました。開発当初とは違う、原材料の高騰という新たな雨に見舞われながらも、常に“とっておきの味とみんなに教えたくなるおいしさ”を目指した挑戦は続いています。

平田さん
おいしさと価格のバランスを取るのが、本当に難しい時代になってきました。食卓や外食でも、子どもの反応を見るようにしています。子どもからしたら、価格は関係ない。素直に、おいしいものを選びます(笑)。お客様視点が大事です。
もちろん最終的な価格の検討は必要ですが、純粋な反応が開発のヒントになるんですよ。

鈴木さん
私たちも仕事を離れれば、一人の生活者ですから。自分や家族がおいしいな、これ欲しいなと感じるものは、きっとお客様も同じです。デスクで一人考えるよりも、自分の身の回りからお客様のことを想像すること、お客様の声を聞くことは、すごく大事だし、楽しいです。
最後に、お二人にとっての晴れ間をお聞きしました。


平田さん
レンジ対応の包材は当時コストや供給の課題があり、「セブンプレミアム ゴールドシリーズにしか使えない」と言われていました。でも今では、セブンプレミアムの商品に広く使われています。苦労して多くの方と送り出したものが、なくてはならないものになっている。感慨深いですよね。

鈴木さん
セブン‐イレブンの商品で何が好きですかと聞くと、『金のハンバーグ』と答えていただけることが多いんです。これは、正解のない中で、代々のMDさんたちが「もっとおいしくしたい!」という思いを持ってブランドを受け継ぎ、育ててくださったからなんですよね。それが、何より誇らしいです。
日々の暮らしのちょっとしたごほうびとして、『金のハンバーグ』は、これからも続いていきます。

2025年7月にリニューアルした、15代目『金のハンバーグ』。牛肉のコクと豚肉の甘み広がり、ふっくらジューシーさがアップ。

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