
お惣菜を、家庭の味に。セブンプレミアムポテトサラダ17年の歩み
素朴でありながら、どこか懐かしく、心がほっとする味がポテトサラダの魅力。
「家庭でつくるポテトサラダを再現したい」。そんな並々ならぬ情熱を注ぎ、進化させてきたのが、セブンプレミアムのポテトサラダ。2008年の発売以来、毎日数多くのお客様に選ばれ続けています。
じゃがいも本来の味わいを追求し、そのおいしさを守り続けるため、開発者たちはどんな試行錯誤を繰り返してきたのか。
今回は、そんなセブンプレミアム ポテトサラダの担当者たちのアメノチハレをお届けします。
いつでも気軽に使えるお惣菜を。パウチ惣菜開発の原点

セブンプレミアムには、このポテトサラダが生まれる前に大きな挑戦がありました。それが、長期保存が可能で、食べたい時にすぐ食べられる"パウチ惣菜"の開発です。
「夕食の支度をしようと思っても、子どもは塾、夫の帰りは遅い…家族全員が揃って食事をとれる機会が減っていた時代でした」と、セブンプレミアムのパウチ惣菜開発に携わったセブン&アイ・ホールディングス グループ商品戦略本部 セブンプレミアム開発戦略部 デイリー食品マーチャンダイザーの高橋さんは当時を振り返ります。
※所属部署・役職は取材時のものです


高橋さん
共働きしていても、主菜は自分で調理する。そんな風習が色濃く残っている時代でもありましたね。でも、食卓のもう一品になる副菜なら、お惣菜として購入してもらえるのではないか。いつでも冷蔵庫にストックしておける惣菜があれば便利なんじゃないか。そんな発想から、セブンプレミアムならではのパウチ惣菜の開発がスタートしました。
2007年、和風の小鉢惣菜を中心とした7アイテムをセブンプレミアムの第1弾として発売。それまでの市場にあった一般的なパウチ惣菜は高価格帯のものが多く、気軽に1食分だけ購入できるものは多くありませんでした。
購入のしやすさに加えて、セブンプレミアムは“パウチを開けた瞬間ができ立ての味わい”を追求。発売から間もなく広く受け入れられることになりました。
高橋さんが生み出したパウチ惣菜を引き継いだのが、現在ヨークベニマル 商品事業部 副部長 兼 デイリー部 シニアマーチャンダイザーの大竹さん。ポテトサラダの開発のきっかけは、大竹家の食卓にありました。


大竹さん
我が家には中学生の子どもがいて、妻が食卓に一番よく出してくれていたメニューがポテトサラダだったんです。ただ、手づくりだと手間がかかるぶん「せっかくだから」と多めにつくりがちなんですよね。その日のうちに食べきれないことが多く、翌日の朝も昼もポテトサラダ…なんてこともありました。
そこで、ポテトサラダを気軽に買って、必要な分だけ食べられる商品があってもいいんじゃないかと考えたのが、開発のきっかけです。
おいしいポテトサラダを目指して
気軽に購入できておいしい、ポテトサラダのパウチ惣菜の開発がスタート。しかし発売するまでには、大きな課題がありました。それは、家庭の味の再現です。
当時のポテトサラダのパウチ惣菜は、業務用で販売されているものがほとんどでした。じゃがいもはすり潰され、ポテトサラダというよりはパテのようになってしまっていたのだとか。

大竹さん
従来のつくり方だと、おいしさが全部逃げちゃっていたんですよね。実際、ポテトサラダは売れないお惣菜の一つでした。でも、食卓でこれだけ食べられているのだから、挑戦すべきだろうと、開発をスタートさせました。
設備も、食材も、工場も。すべては“おいしさ”のために
大竹さんがまず取り組んだのが、じゃがいもの加工方法の見直しでした。

大竹さん
じゃがいもの旨味が一番詰まっているのは、皮と実の間の部分なんです。ところが、従来の製法ではこの大事な部分が削られ、肝心の風味が失われていました。また、できあがったポテトサラダをパウチ包装に詰めるためのパイプが細く、ゴロゴロとした食感を生み出しづらかったんです。
どうしたら旨味を逃さずカットできるのか、じゃがいもをつぶさないパイプの太さはどれくらいなのか。試行錯誤を繰り返しながら、大竹さんは設備の大幅な見直しに取り組みました。その期間、実に半年間。
こだわったのは設備だけではありません。食材選びから工場に至るまで、そのすべてをポテトサラダのために新しくつくり上げたのです。

大竹さん
じゃがいもは、でんぷん質の多い北海道産の男爵芋を選びました。一般的なじゃがいものでんぷんの量が13%程度のところ、男爵芋は15%以上。これなら、ポテトサラダならではのホクホク感が出せると考えたんです。最終的に北海道の農家と契約したのですが、我々が求める生産量が膨大だったので、話がまとまるまで時間がかかりました。

ポテトサラダ開発に携わった大竹さんと高橋さん
しかし、ここで新たな課題が浮上します。理想の食材を確保できても、鮮度が良い状態で加工できなければ、求める味には近づけません。この問題を解決するため、お取引様にもご協力いただき、2012年には工場を北海道に新設しました。

高橋さん
収穫後すぐ加工できるようにと、北海道に工場をつくるなんて驚きましたね! 大竹さんには、 “いい素材を一番おいしく加工できるのは産地。なんとしても産地で加工して、それを全国の皆さんに届けるんだ”という想いがあった。だからこそできたことだと思いますよ。
家族からの「おいしい」が一番のほめ言葉
数々の試行錯誤を経て、ついにできあがったセブンプレミアム「ポテトサラダ」。その商品を試食した際の感動や発売当時の反響を、高橋さんは今でも鮮明に覚えています。

高橋さん
大竹さんが開発したポテトサラダを、試食させてもらった時のおいしさは忘れられないですよ。当時、惣菜コーナーで販売されていた手づくりのポテトサラダよりもおいしかったんですから。これなら間違いなく売れる、自信を持って売場に出していいと思いました。

大竹さん
ポテトサラダができあがった時は素直にうれしかったですね。いろんな方に食べてもらって「おいしい」という言葉を聞けましたし、妻からも好評でした。子どもも気に入ってくれたようで、お弁当にも入れてもらっていました。

長い雨を乗り越えて見えた晴れ間。ですが、セブンプレミアムのポテトサラダの歩みはここからが始まりでもありました。
社会の変化と闘いながら、おいしさを引き継いでいく
「セブンプレミアムのポテトサラダは12回のリニューアルを重ね、現在13代目になります(2025年3月時点)。定番商品だからこそ、お客様の期待を裏切らずに進化していく必要があります。先代たちが築き上げてきたこだわりを守りながらも、おいしさを保つための取り組みを日々続けています」
そう話すのは現在の開発担当である、セブン-イレブン・ジャパン 商品本部 デリカテッセン部 7P・生活デイリーマーチャンダイザーの見雪(みゆき)さん。

しかし、社会環境が刻々と変化する昨今、その味を守り抜くのは容易ではありません。まず直面したのが、原材料費の高騰です。

見雪さん
複数個まとめてお買い求めいただくお客様も多いので、わずかな値上げでも大きな負担になりかねません。価格を抑えながら、毎日食べたくなるようなおいしさを提供していかなければならないと考えました。
そこで見雪さんは不要な味付けを省き、じゃがいも本来の素材のおいしさを際立たせる、シンプルな味付けを追求。削減できる部分を見直し、その分を品質向上に回すことで、値ごろ感とおいしさの両立を図ったのです。歴代の開発担当者たちと同様、おいしさをさらに引き出すための工夫も重ねています。

見雪さん
昨年の改良ではじゃがいものカットサイズを大きくし、よりゴロゴロ感を演出できるようになりました。また、玉ねぎの加工方法を見直して、特殊な加熱方法で蒸す工程に変更しました。玉ねぎの食感や自然な風味を損なうことなく、活かすことができたんです。
おいしいポテトサラダを製造し続けるためには、もう一つの課題がありました。農家の後継者不足などが原因となり、原材料のじゃがいもの安定供給が危ぶまれたのです。


見雪さん
農家の方々に我々が提供できるのは、安定した発注量です。ポテトサラダだけではなく、カップデリ惣菜やその他の新商品にも併用することで、収入を担保させていただく。それで後継者不足が解決できるとは言い切れませんが、良質なじゃがいもを守るための道を模索し続けていきます。
絶えず雨が降り続いても、食卓に並ぶ何気ない一皿を守るために。開発現場の挑戦は終わりません。
おいしいものを食卓に。担当者たちのポテトサラダへの想い
最後に、これまでの歩みを振り返りながら、セブンプレミアムのポテトサラダに込めた想いを皆さんにお聞きしました。

大竹さん
空の上には太陽があります。どんなに曇っていても、その上は晴れているんです。私たちがその晴れ間にたどり着いているかはわかりません。でも、少なくともポテトサラダが10年以上愛される商品にまで成長している。これは、本当にうれしいことです。

高橋さん
ポテトサラダに限らず、セブンプレミアムは食のイノベーションだと思うんです。だから、これからもどんどんイノベーションを起こしていきたいですね!

見雪さん
シンプルな料理だからこそ、完成することはないと思っています。正解を探すのは難しいですが、議論を交わしていくことで、日々改善していく。それがポテトサラダを引き継いだ私たちの仕事です。
どんなに時代が経っても変わらない、“おいしいものを届けたい”という想い。セブンプレミアムのポテトサラダは、これからも晴れを目指し続けていきます。
※所属部署・役職は取材時のものです