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セブン-イレブンに学ぶ、広報の“攻め”と“届け方” 大人の交換留学 vol.3

今度は私が留学生に!? 雑貨の世界から、コンビニエンスストアの世界へ

ロフト広報室の岸さんの元に一通の招待状が届いたのは、柔らかい春の風が吹き始めた頃のことでした。差出人はセブン-イレブン・ジャパン。前回、自社に“留学生”を迎え入れた岸さんのもとに、今度は“自分宛て”の招待状が届いたのです。

セブン-イレブンの店舗でOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)業務を体験してみませんか?」

これが、今回の体験内容でした。

大人の交換留学第3回目の舞台は私たちの日常に欠かせないコンビニエンスストアのセブン-イレブン。1人7店~8店のフランチャイズ店舗を担当し、お店の運営や売上向上に向けての経営のサポートを行う“OFC“業務を体験することに。

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めざメー

めざメー

大人の交換留学って?
セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社の仕事を体験する、グループ従業員のためのasupressoオリジナルの “留学”プログラムだよ。前回の交換留学では、赤ちゃん本舗広報部の李さんがロフトの展示会を体験してくれたんだ~!

岸さんが普段心がけているのは、商品情報や経営情報をリリース配信やメディアを通じて発信し、企業の価値や魅力を世の中に伝えていくことです。広報という立場上、店舗の売場を担当することはありません。でも、“商品を通して自社の魅力を発信していく”という点では、セブン-イレブンもロフトも同じはず。

そう考えていた岸さんでしたが、「商品をお客様に知っていただく」という本質を持ちながらも、全く異なるアプローチなのだと体感していくことになるのでした。

いつもと違う、“伝える現場”体験!

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今回の舞台はセブン-イレブン横浜大久保2丁目店。いつもは見慣れたセブン-イレブンの入り口が、まだ見ぬ世界への扉に。緊張の面持ちで店舗へ足を踏み入れた岸さんを笑顔で迎えてくれたのは、京浜ゾーン横浜南地区OFCである坂井さん。

坂井さん

坂井さん

「OFCは、オーナーさんと一緒に“どうやったらもっと選ばれるお店になるかを考え”一緒にカタチにしていく仕事です。今日はぜひ、現場のリアルを体感していってください! まずは…」    

セブン-イレブンのユニフォームに袖を通した岸さんが案内されたのは、店舗の入り口近く。坂井さんが手にしているのは、4月1日からリニューアルされた“サクふわメロンパン”の試食品です。

岸さん

岸さん

「え! セブン-イレブンって試食もやるんですか…?」

坂井さん

坂井さん

「はい! 皆さんが普段目にする試食と同じように、大切なのは商品の魅力をお客様にお伝えすることです。ですが、最初から上手くお伝えするのは難しいですよね。そこで私たちOFCがオーナー様や従業員の皆様のサポートをさせていただくことがあるんです」

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来店されたお客様に、坂井さんは積極的にサクふわメロンパンをご案内していきます。商品をおすすめすること自体は、これまで岸さんも経験してきています。いつものロフトの業務とは異なる、アプローチ方法が見つかりました。

岸さん

岸さん

「ロフトも接客業ですし、私自身も広報としてメディアの方々に商品をご提案する機会があります。今回、坂井さんが試食などを通じて、自らお客様と接しながら商品価値を伝えるセブン-イレブンの接客アプローチを拝見し、“価値を伝えることの大切さ”を改めて実感しました。」

セブン‐イレブンの店頭で行われるのは、新商品の試食だけではありません。エリアによっては、新商品のテスト販売が行われることもあるそうです。実際にお客様の反応を見ながら、数々のヒット商品が生まれてきました。

めざメー

めざメー

テスト販売の結果で社内の評価を覆し、大ヒット商品となった豆腐スイーツバーの開発秘話はここから読めるよ~!

常に安全・安心に商品をお届けするために。OFCならではの視点!

続いて岸さんが体験したのは、店舗確認。坂井さんから手渡されたリスト(店舗確認表)には、お客様に快適にお買物していただくためのチェック項目がずらりと並んでいました。OFCは週に一度、担当する各店舗をこのリストに沿ってお客様の目線で確認するそうです。

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坂井さん

坂井さん

「外から確認していきますね。まずはゴミ捨て場。食品を扱っていますので、ここを清潔に保つことはとても大事なんです。害虫の発生源になることもありますし、不法投棄の温床になることもあります」

ゴミ捨て場のチェックを終えた坂井さんが次に注目したのは、店頭入口に敷かれたマットの下。意外と見落としがちですが、こまめに掃除しないと雨水やほこりがたまり、そのまま店内へと運ばれてしまいます。「快適な売場づくり」に欠かせない確認ポイントです。

岸さん

岸さん

「お店の外も含めて、“売場”の一部なんですね。店頭のクリンネスは毎日実施していますが、ロフトはテナント店舗が多いので、こういった視点も勉強になります」

店内でも坂井さんの細やかな確認は続きます。棚の商品が充分な在庫量で適切に並べられているか、飲料ケースのガラスが綺麗に磨かれているか。
冷凍ケースの中まで、確認は一つひとつ丁寧に進みます。

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冷凍ケースでは、冷気がしっかり行きわたるように、商品の陳列を適切な高さに保つことが大切です。

岸さん

岸さん

「一番驚いたのは、蛍光灯と床の確認でした。床を綺麗に磨くと、蛍光灯の光が反射して、店内の明るさが全然違ってくるそうです。お客様が意識されない部分への目配りが、“安心してお買物できる”店舗づくりに繋がっていくんですね」

チェックリストに従って淡々と作業するのではなく、お客様に気持ちよくお買物していただける空間を作り、さらに売上向上を意識した店舗確認。これには、広報のように“言葉で伝える”ことに加えて、お客様に安心感を与えようとする工夫が込められていると感じました。

お客様の“ちょっと先”を見つめる発注管理!

最後の業務体験は、店舗の売上に直結する“発注管理”です。岸さんは、横浜大久保2丁目店の星野店長の隣に座り、坂井さんから発注内容に対するフィードバックを受けていきます。
日々の売れ行きや、発注のタイミングが適切かどうか。

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そうした基本的なものに加えて、セブン-イレブンでは人々の生活に密着するコンビニならではの視点を軸にして発注管理を行っています。中でも岸さんを驚かせたのが、天候を重要な指標としていることでした。

坂井さん

坂井さん

「気温が15度を超えるか、20度を超えるかで、冷たい麺類の売れ行きが全然違うんです。寒い日は温かい麺やパスタグラタンドリアが売れますし、暑い日には冷たい麺や飲料、アイスが求められます。さらに、最低気温、不快指数、前週との比較、前年との比較…立地や客層によっても大きく変わります。
気温や売上データに加えて、「今日は風が冷たくて、温かいものが恋しくなる」といった感覚などお客様の視点で感じる“外の空気”も、発注には大事な判断材料になります。
実際に外に出て、その日の気候を体感することで、数字だけでは見えないニーズに気づけることもあるんです」

岸さん

岸さん

「ロフトの広報でも、“寒い日が続いているので防寒グッズの取材が入るかもしれない”など予測はするんです。取材に備えて、構えておくというか…でも、ここまで細かい数値を読み解きながら見ながら判断しているなんて、正直びっくりしました。すごく刺激になりますね」

在庫が減ったから発注するのではなく、お客様を取り巻く環境を意識して発注を行う。それは“攻め”の発注とも言えます。これはセブン-イレブンの発注システムに支えられてこそですが、一方で数値化できないものを掴み取る力も発注管理には求められます。

坂井さん

坂井さん

「SNSで話題になっているものを欠かさずチェックするのも大切なんですよ。写真映えする商品や、話題のゲームにまつわる商品。そういうものをキャッチできるように、自分のアンテナを広げておくと、売り逃しが減っていきます」

岸さん

岸さん

「私たちも、いつも世の中の動きは気にしています! ある特定の話題が多くなってきたかなと感じたら、すぐにリサーチするようにしているんです」

数字や話題を見る、という行為そのものは、どんな仕事でも当たり前になりつつあります。
それは単に売れるかどうかを判断するのではなく、お客様の生活の“ちょっと先”を見つめているということでもあります。

これまでセブン-イレブンとの違いに目を向けてきた岸さんでしたが、「もしかしたら、見ているものは意外と近いのかもしれない」、そんな風に感じた1日の留学体験でした。

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“伝えていく"視野が広がった日。広報の可能性

見知ったコンビニエンスストアの、知らない裏側。そこにあったのは、誰に気づかれることもなくとも、心地よさを生み出す確かな気配り。そして、お客様と店舗のことを考え抜く、徹底した眼差しでした。

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岸さん

岸さん

「広報として心がけているのは、正確であることはもちろん、説得力のある情報をメディアの方に提案していくことです。今回の留学で視野を広げることができました。
データや天候、SNSなども含めて、具体的に情報を伝えられるようになると、より説得力が生まれるという実感を持ちました。半歩先の情報をインプットし、お伝えするための“攻め”の姿勢も取り入れていきたいです!」

セブン-イレブンのOFCと、ロフトの広報。まったく異なる仕事でありながらも、「商品を多くのお客様に知っていただく」という本質では共通しています。セブン-イレブンの細部まで考え抜かれた仕組みを知ることで、岸さんの“伝えていく”視野は広がったのかもしれません。

これからも続く「大人の交換留学」。次の招待状が届くのは、あなたかも?

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